星野監督就任時を振り返る2【救援陣を育てられなかった?】
話を始める前に.下記が持論です.
ブラウン監督の起用方にみる,セ・パにおける「抑え投手」の役割 - 飯尾の駄文日記3
今回の日本シリーズでの投手起用がまさにその象徴となりましたが,今季のイーグルスは優秀な先発陣を擁する一方で,救援陣は質・量ともに万全とは言い難い状況でした.
これを考えた場合,1つの大きな論点があります.
果たして星野監督は,救援投手を育てられなかったのか?
それともあえて育てなかったのか?
結論から言えば,あえて育てなかったと捉えるべきではないかと思っています.*1
少なくともドラゴンズやタイガースを率いていた頃の星野監督は救援陣を優先的に整備する傾向があり,個人的にはむしろ救援投手の整備が上手い印象です.
過去記事から引用します.
投手の適性をみている可能性もありますが,これまでの星野監督の監督経験からするとこの判断は少し奇異に映ります.
前述の落合・サムソン各投手は実は当初先発で起用されていました.
岩瀬投手本人も先発を志望していたことがあります.
宣投手も韓国時代は先発・リリーフを両方努めていました.※ただし日本に来る数年前からは抑え主体にはなっています.それでも1994年は全27登板中8試合で先発を務めています.
このように少なくとも自分の知る限り,星野監督がリリーフを切り崩してまで先発に投手を固めるということをしたことはありません.
しかし,イーグルスに来た星野監督はこれまでとは異なる起用方針を感じさせる行動を取ります.
翻って来季のイーグルス,少し前ですが,青山・片山両投手の先発転向という記事がありました.
佐藤コーチの考えという可能性もありえますが,記事をみる限りでは星野さんの考えが強く反映されている可能性が高そうです.
同記事中では,
最初に書いたように,星野監督は抑え投手の評価が過剰に高かった時期に,相対的に評価が低かった中継ぎ投手の重要性について認識していた節があります.
この感覚,そして今回の先発転向指令からみると,セ・パの野球の違いをかなり深く認識しているのではないかと思います.
それこそ,こんな適当に書いているブログなんかよりもずっとずっと深いレベルで.
というように纏めましたが,果たして星野監督はこの3年間で先発重視の投手編成を行いました.
仮定の話になりますが,仮にイーグルスがセのチームであれば,星野監督は則本・辛島・美馬投手らのうち少なくとも1人,ひょっとしたら2人を救援陣に回していたであろうと見ています.
星野監督の両リーグでの優勝.
モチベーター型の監督として評価されることが多いですが,その実リーグの特徴をよく理解しそれに対応できる柔軟性が生み出したものだと言えるでしょう.
一方で,今季の日本シリーズで個人的に見ていて印象に残っているのは第5戦です.
DH制の無い東京ドームで則本投手がロングリリーフをし,2度の打席に立ちました.
正直なところ,10回表の先頭打者として則本選手に打席が回った際には,「代打を出せないのはやはりきつい.交流戦もあるし,完全に救援陣軽視というわけにもいかないのかな.」と思ったのですが,結果的に四球で出塁し,決勝得点を記録しました.
理屈などを上回るイレギュラーが起こる. だからこそ野球は面白いと再認識させられた展開でした.
*1:もちろんここでの“あえて”という言葉は優先度が低いという意味であり,十分に育てられる余裕があったのにしなかったという意味ではありません