星野監督就任時を振り返る1【補強戦略の方向性の変化】
3年前,星野監督の監督就任が噂された時にまず抱いた感想は,「楽天球団の方向性が見えない」ということでした.
ブラウン監督解雇とイーグルスフロントの目指すもの - 飯尾の駄文日記3
これまでイーグルスというチームは大金を使った激しい補強というものをほとんど行ってきませんでした.チーム総年棒も12球団中カープと争うほど下位の方にいました.
しかしその一方でポイントをつかんだお得な選手を獲得している印象がありました.
チームとしての理想はファイターズのような,低~中くらいの年棒で優勝争いに加われるチームであるのかなと.
だからこそ,ファイターズが選手の力量をよく把握できる高田氏をGMに,監督には中間管理職的な立場をよく理解した外国人であるヒルマン氏を就任させたように,イーグルスも故三村氏を編成部長に置き,同じくメジャー式を理解したブラウン監督を配置したのであろうと理解していました.
星野監督はそういうことをするには力が強すぎる監督です.
個人的には星野さんは好きですし,タイガースを再生させた手腕は見事なものがあります.
しかし,ドラゴンズしかりタイガースしかり,星野監督が率いて優勝争いをしたチームというのは大量の金を使い毎年優勝争いを行うチームです.
高い確率で強くはなるでしょうが1.5~2倍程度の総年棒になるでしょう.
しかしその後,時代の変化を考慮に入れ,且つ「補強戦略の方向性について星野監督とコンセンサスが取れているのであれば問題ないのではないか」と考えを改めました.
選手補強の手段 (下)【イーグルスの補強戦略】 - 飯尾の駄文日記3
上記のような理由から,今シーズンのメジャー帰りの選手には一定にレベルの選手が揃っていることを認識し,星野さんと球団との間でそれらの選手の獲得を補強の中心にすることを既に決めてあり,その上での星野監督就任であればイーグルスは高い戦略性を有していることになります.
もしそうであれば,そして少なくとも現在までの補強をみているとその可能性が考えられるので,「星野さんが監督に就任するようなことになれば,(イーグルスという球団には)計画性も一貫性も皆無ということになりますね」という文は訂正させて頂きます.
さて実際にはどうだったでしょうか?
少なくとも星野監督の就任以前に比べれば補強への投資はしていますが,一方でドラゴンズやタイガース時代の星野監督のチームほどの高額投資はしていないと判断できると思います.*1
個人的には,ブラウン監督の頃まではローコスト・ミドルリターンを狙っていて,星野監督の就任とともにミドルコスト・ハイリターンへと移行して行ったように感じています.
そして恐らく星野監督もこの方針については理解していたのではないかと考えています.*2
前監督解任は行き当たりばったりに見えたためその方針を強く批判しました.*3
ですが,少なくとも星野監督就任に関してはある程度覚悟をした上でのオファーだったのだと思います.
その思いが結実した日本一だったとも言えるのではないでしょうか.