飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

ブラウン監督の起用方にみる,セ・パにおける「抑え投手」の役割

昨日のイーグルスは見事ルイーズ選手の3ラン (+ブラウン監督の退場?) で逆転.個人的に9回を誰に投げさせるのか注目してみていました.9回に出てきたのは小山投手.川岸投手は一昨日の救援失敗により抑えを外されたようです.
ブラウン監督退場後でしたが,リプジーコーチの独断で抑えを変更する可能性は低いでしょう.

今シーズンのイーグルスでは,福盛,モリーヨ,川岸,小山等抑え投手が頻繁に入れ替わっています.もちろん福盛選手のように,故障の場合は仕方ありませんが,調子が悪くて外される選手も少なくありません.


カープ時代のブラウン監督と比較すると抑え投手の起用方が大きく異なります.カープ時代ブラウン監督はあまり抑え投手を変えませんでした.2006年5月16日に永川投手がそのシーズンの初セーブを挙げて以降4年間,怪我などを除けば,永川投手の調子が悪く救援失敗が続き,多くの批判を受けることがあっても,抑えから外すことはしませんでした.

もちろん,各選手の実績・状態やチーム状況によるものもかなり大きいとは思いますが,これにはセ・パにおいて求められる「抑え投手」の役割の違いが大きいとみています.

以前の記事で書いたようにセ・パの大きな違いはDH制の有無です.このことから,セ・リーグでは試合の展開上,投手に代打を出す機会が多くなり,調子が良くても先発投手が6~7回で降板する機会が増えます.そのため,救援投手の重要性はセ・リーグのほうが相対的に高いといえます.

その結果,現在のセ・リーグでは信頼できるリリーフ投手が少なくとも3枚いないと勝ちパターンが構築できないことになっています.しかし良いリリーフを3枚そろえるということは決して簡単なことではありません.少なくとも偶然そろうようなことは期待できません.ではまず何をすべきか?タフな投手を抑え投手に固定することになります.
そうして抑え投手を固定することにより勝負どころである7~8回に投げるセットアッパーある程度を試しながら起用することが可能になります.

ここで抑え投手に必要なものは,絶対的な球威や安定感よりもタフさです.
ブラウン監督は,少なくともカープ監督時代はブルペンにおける無駄な肩作りを禁止しており,急な登板や準備をしたのに登板させないということを徹底させていました.しかし,この例から外れるだろうと推測される投手が一人だけいます.抑え投手であった永川投手です.抑え投手は急な逆転やチャンスの末の凡退などにより,必ずしも登板機会が予想できるわけではありません.
むしろ9回を投げる抑え投手に絶対的な球威や安定感があっても,試合展開上(例えば接戦ビハインドやサヨナラなどの場合)起用できずに宝の持ち腐れとなることが多々あります.


このことから,セ・リーグにおけるリリーフ陣の陣容は,
・7回のセットアッパー:絶対的な球威と勢いのある本格派
・8回のセットアッパー:安定した技巧派
・9回の抑え投手:連投や急な登板に耐えうるタフな投手
というのが自分の理想です.そのまま,初期のJFKですね.

実際にタイガースは,藤川投手と久保田投手がセットアッパーと抑え投手の役割を交代してから一度もリーグ優勝をしていません.
また,今シーズンのカープは永川投手を抑えから外したところ,調子を崩す選手や故障する選手が続出しました.
もちろん両者とも偶然や首脳陣の起用方などほかの要素も多分に絡んでいるとは思いますが,タフな抑え投手がリリーフ陣の要石となっていることが読み取れます.


これに対してパ・リーグでは,優秀なリリーフが何枚もいなければならないわけではありません.DH制により先発投手が長いイニングを投げることが多く,ロースコアなゲームであれば7回前に先発が降板することはあまりありません.このような状態ではセ・リーグとは違い,良いリリーフに7回を任せても登板できずに宝の持ち腐れとなる機会が増えると思われます.この場合,最も調子のよい投手を抑え投手にすることの方が合理的である考えられます.


まとめますと,
○セ:抑え投手は最もタフな投手.抑え投手が固定されることにより7~8回に投げるセットアッパーの確立ができる.
○パ:抑え投手は最も調子がよく安定感のある投手.ある程度流動的でも構わない.
ということです.


セ・リーグでも1990年代後半には,佐々木,高津等の抑え投手の存在が圧倒的でした.2000年代に入ると,五十嵐や藤川などセットアッパーの存在が際立ってきました.
DH制がないため,投手の分業化とそれに伴う重要性の増加がセの方が先行して起きている印象です.
今後パ・リーグでも7回を投げる投手の成績がキーになる時期がやってくるのでしょうか.