飯尾の駄文日記

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“酷使”について考える (1) ~選手生命に与える大きなリスク~

大分遅れましたが,前に言ったように投手起用についての話をば.

今季カープ首脳陣は,前半戦では青木投手を,後半戦では今村投手を,かなりの登板過多となる起用,いわゆる“酷使”と呼ばれる起用を行ってきました.
自分はこれに対しかなり批判的なスタンスをとってきましたし,実際にブログでも批判しました.

多くのファンも同様に酷使に対して批判的であった一方で,昔の選手などを引き合いに出してそれを否定する人もまた存在しました.


では実際にそうなのか?
例としてシーズン登板記録上位10位までを見てみましょう.

1位:久保田 (’07 タイガース)・90登板
2位:藤川 (’05 タイガース)・79登板
3位:稲尾 (’61 ライオンズ)・78登板
4位:菊地原 (’01 カープ)・78登板
4位:福間 (’84 タイガース)・77登板
6位:木塚 (’07 ベイスターズ)・76登板
8位:稲尾 (’59 ライオンズ)・75登板
8位:ウィリアムス (’05 タイガース)・75登板
8位:武田 (’06 ファイターズ)・75登板
8位:アッチソン (’09 タイガース)・75登板

登板方法が比較的確立した2000年代の選手も少なくありませんが,このうち半分ほどの選手が翌年あるいは翌々年に故障を伴いほとんど登板ができなくなったり成績が大幅に悪化するなどしています.
それを感じさせずにその後も安定した成績を残しているのは,昨年が最多登板であった久保投手とアメリカに帰ったウィリアムス投手を除けば,稲尾投手と武田投手および藤川投手です.

これを多いと捉えるか少ないと見るかは人にもよるとは思いますが,少なくとも一定以上のリスクはあると見るのが妥当でしょう.

“故障しないかもしれない”から起用すると言うのは,野手で言えば“若手の○○選手は3割40本塁打を打てる逸材になるから外国人選手の補強は要らない”と言っているようなもので,リスクの危険性を考えることもそれを抑える方策を考えることも放棄しているに等しいのです.


カープの弱体化の要因としてドラフトにおける自由枠や逆指名制度の導入が挙げられることがあります.
しかしながら,90年代半ば以降でも澤崎投手や山内党首が新人王を獲得していますし,1999年には小林幹英投手が新人王級の活躍をしています.
問題なのはこれらの投手がその後活躍できていないことであり,要するに新人選手の活躍が投手陣の層の拡充に寄与していないということです.

野手では新井選手や金本選手のようにFAで引き抜かれたという面がありますが,FAで移籍した投手は今のところ黒田選手のみです.
投手陣に関しては,FA移籍がダメージになるレベルにすら育てられていないというのがカープの現状です.


いずれにせよ今までのように出来る投手ばかり使ってその場しのぎを繰り返していれば,いつまでたっても投手力は上がらないでしょう.
前田投手や今村投手などといった若手が頭角を現してきている現状だから,こそそれらの選手が長く活躍できるようなマネジメントが不可欠だと思います.

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