続 “酷使”について考える (2:中期的観点から)【シーズンを見据える】
昨日の続きです.
今日の話に関しての論旨は,過去に書いた記事とほとんど変わりません.
“酷使”について考える (2) ~“怪我”の手前にあるもの~
“酷使”について考える (3) ~“勝つために”酷使を避ける~
引用します.
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何故か意識されないことも少なくないのですが,疲労が蓄積してくれば怪我をする前にまずパフォーマンスが低下します.
そうなれば当然ながら抑えられる確率も低下するはずです.
そういった状況でそのような選手を無理に使ったところでどれだけのリターンがあるのか?
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投手というのは「沢山休ませたから沢山投げられる」,あるいは「沢山投げたとしても沢山休ませれば大丈夫」というものではありません.
極端な例で言えば「10日休みを挟んでやれば10連投しても大丈夫」などということは無く,登板過多になればパフォーマンスが低下する確率が上がり怪我をする虞もあるのです.
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要するにシーズンでの勝利を考えた場合,短期集中的な登板は得策とは捉えづらいということです.
その上で,ということになりますが,シーズンのために選手生命を棒に振っても良いという選手がいること自体も否定しがたいところではあります.
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もちろん個人的に選手が故障するのは悲しいことなのでできれば避けてほしいですが,もし選手自身が,体が壊れても優勝したいと言っていたら,それが本当にチームのためになるのであれば自分はそれを治める言葉がみつかりません.
しかしながら実際に体が壊れかねないようなレベルまで酷使された選手は,パフォーマンスが著しく低下している可能性が高くとても試合には使えません.
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カープに限らず実際に過去に登板過多が原因となり故障したと疑われている選手は多くいます.
例えば元ドラゴンズの与田選手や元スワローズの伊藤選手,あるいは元ジャイアンツの條辺選手などが挙げられるでしょうか?
(登板過多というと少し語弊があるかもしれません.故障や違和感を抱えつつ無理をした,というところまでであれば誤解を招きにくい表現かもしれません)
しかしその一方で,彼らが (少なくとも表立って) 当時の起用を批判していることは耳にしたことがありません.
本当は不満があったものの,社会人としての付き合いがあるから,就職の斡旋等のフォローがあったから黙っているのかもしれません.
あるいは,当時から全く不満がなく,自分の望んだことだから,むしろそのおかげで太い野球人生を送れたから,と納得しているのかもしれません.
その内実や本心がどうあれ,自分が無理をした結果としてチームを上位に導くことができれば,(例えその後その本人の選手生命がどうなろうとも) 満足という選手はいるでしょう.
ただ,年間通して持たなければその条件すら満たしていません.
昨年のドラゴンズの浅尾投手は明らかに登板過多とみなせる起用をされていました.
その一方で,昨季中には故障せず,ぎりぎりのところでシーズンを持たせていました.
個人的には当時の落合監督・森コーチの浅尾投手に対する起用は,シーズン限りの退任が決まっていたからこそできた方法だと考えています.
シーズンを勝つためには (特に中継ぎ) 投手を潰すことが必要,というのは残念ながら現代野球においては否定し難いことであり,少なくとも現在のプロ野球のレベルでは簡単には避けられない事態です.
とは言え,いえむしろ,だからこそ,どのように力のある投手をシーズン通して持たせるかという視点があって然るべきです.
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144試合およそ1300イニング,1ヶ月約25試合の計225イニング,1週間の6試合54イニングをどう消化していくのか?
仮に調子が良い選手を短期的に多く登板させたからと言って1シーズンの総消化イニング数が変化するわけではありません.
逆に怪我や急激なパフォーマンスの低下で使える駒が少なくなれば,アウトを取りづらくなるために個々の投手の負担が増してしまいます.
信頼できる投手のパフォーマンスを如何にして低下させないようにするか.
その一方で捨て試合でも投げられる選手を如何にして見出すか.
これらのことを考えて行かなければシーズンを乗り切ることは出来ないと思います.
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シーズンを見据えていない短期集中的な起用は,チームにとって不幸ということだけでなく,無理をした投手自身にとっても,言い方は悪いですが“無駄死に”に等しいでしょう.
仮に選手自身が望んだのであったとしても,“チームの勝利のために”それを諌める,それがコーチや監督の役割のはずです.
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