飯尾の駄文日記

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ジグザグ打線その2

以前に「ジグザグ打線」についての記事を書きましたが,
カープもジグザグ打線を試みている模様です.
栗原3番!“野村の考え”新ジグザグ打線
 2011年の野村鯉は、変幻自在のジグザグ打線だ。ヤフードームで26日行われたソフトバンク戦で、不動の4番・栗原健太内野手(29)が3番に入り、新外国人のチャド・トレーシー内野手(30)が4番に入る新オーダーを披露。野村謙二郎監督(44)は、栗原の4番復帰を示唆しながらも、4番を固定せずに理想のジグザグ打線を追い求めていくことを明かした。
 レフト席に陣取るカープファンも驚いた。スコアボードに並ぶ広島のスタメン。4番にあるはずの名前が、3番にある。08年の開幕から昨年までの3年間の公式戦で、先発した試合はすべて4番に座っていた栗原が「3番・一塁」で出場した。
 今年2戦目のオープン戦ではあるが、不動の4番を外す意味は大きいはず。野村監督は「報道陣のみなさんはびっくりしたでしょうけど、僕の中ではありましたから」とサラリと語ったが、今年に懸ける指揮官の意気込みを表しているのは間違いない。
 栗原を4番から外してまでもこだわったのが「ジグザグ打線」だ。この日、東出に代わって2番に入った小窪を除けば、1番の梵から、7番の赤松までが“右左”ジグザグになる打順。ただ「いろんなケースを試そうということ」と言うように、相手の先発が右ならば、1番と2番を逆にした“左右”の打線になる可能性もあるという。
 3年間守り続けた4番の座を外される危機が出てきた栗原だが、意地は見せた。一回2死無走者で回ってきたオープン戦初打席で、右前へ初安打。「たまたま」と笑ったが「(4番を外れ)気持ち的にはどうでしょうと言われたら、どうでしょう」と、複雑な心境をちらつかせた。
 もちろん野村監督としても、打線の中心にいて欲しいのは栗原だ。ジグザグ打線が理想だが「4番は重要。4番が打てば打線も乗ってくる」と考えているだけに「オープン戦で(栗原)健太がいい感じで引っ張ってくれれば4番も考える」。フォーム改造中で本来の調子ではない主砲だが、力で4番を取り戻すことを願っている部分もある。
 この日は完封負けで新打線の結果は出なかった。しかしオープン戦は始まったばかり。「今日は機能しなかったけど、これからどういうふうに機能するか見てみたい」。理想のジグザグ打線完成へ、野村鯉の試行錯誤は続く。



タイムリーなので経過を少し気にしていくことにします.
その前に,結果をフラットにみるために,今のうちに一応目安について書いておきます.
そうしておかないと,批判あるいは擁護ありきの結果論にもなりうるので.


メリット
・相手チームの継投への影響
 現在のプロ野球の監督は,その程度は異なるにせよ,選手起用の基準の一つとして左右を考えます.ジグザグ打線であれば,左右によって交代されるレベルの投手が多いチームには一定の効果があるでしょう.当然,イニングで固定されているセットアッパーやクローザーには効果がありません.

デメリット
・打線の分散化
 効率の点から考えれば,高い打力を持つ選手は集中させた方が打線が途切れにくくなります.特にセの場合は9番で一度途切れることが多いので,上位打線に集中させた方がより合理的です.

不確定要素
・相手投手に対する心理的影響
 これは前の記事で触れたことですが,投手の心理状況に影響は与えるはずです.ただし,その影響がほぼ0なのか目に見えるほど大きいのかはわかりません.
・打順に対する心理
 日本には打順に対するイメージがあり,言動から推測する限りそれを意識している選手も少なくはありません.かつて前田選手が2番に入った時に調子を崩したように,打順変更の心理的な影響を受ける可能性はあります.ただしこれに関しては,マークが薄くなるなどの理由から逆に調子が上がることもありえます.



結果の見方に関してですが,
幸か不幸か,野手陣の大きな補強は外国人選手のみですから,トレーシー選手とヒューバー選手の成績を比較すればその影響はある程度推測できるでしょう.

打線全体で見れば,昨年はボールの影響も少なくなかったと思いまので,今季は少し下がるだろうかと思います.
実績という観点から見れば,昨季の成績がキャリアハイだった梵・廣瀬・木村昇選手らは,少なくとも一人は成績を落とす可能性が高いでしょう.
逆に栗原選手はここ2年の成績が (数年前の成績を基準とすれば) 芳しくなかったので,昨年より良い成績を残す可能性は高いと思います.

自分としては昨年のチーム打撃は少し良過ぎた印象がありますので,そのままであれば若干成績が下がるだろうと考えています.
トレーシー選手が及第点の成績を残した場合,昨年と同程度のチーム打撃成績を残せば「ジグザグの効果は多少有効?」というところかと思っています.



最後に個人的な感想を2つ.

まずチーム全体でいえば,カープ打線は厚みがありません.
ジグザグ打線にこだわるあまり,「分散型」の打線になると得点力が大きく落ちますので,その辺りの見極めは慎重にお願いします.


2つ目は栗原選手について.
自分は野村監督を評価していませんが,それと今回のジグザグ打線を組んだこととは別の話.
栗原選手を4番から外したことに対して野村監督を批判する向きもあるようですが,自分としてはあまり批判的には考えていません.
栗原選手の成績は,一昨年が23本塁打.257で昨年が15本塁打.295です.
「4番打者」に特別な意味を持たせるというのなら,この成績はそれを満たせているものとは思えません.
打力に乏しいチームの中で主軸を担ってきた栗原選手は尊敬しますし,伝え聞くところの栗原選手の人間性は大好きです.
ただ,この成績で栗原選手を4番から外すのはけしからんというのは,栗原選手に対しても失礼な気がします.
「4番が固定されているチームが強い」というのは,言葉通り4番がどんな成績でも固定されているから強いのではなく,「固定されていても文句が出ない成績を残している選手が4番を務めているから強い」のです.
栗原選手が「固定されていても文句が出ない成績を残して」4番を務めてくれることを期待しています.


まぁ,「報道陣のみなさんはびっくりしたでしょうけど、僕の中ではありましたから」とサラリと語ったが,
のくだりには軽くイラッとしたけどね!




何はともあれ,一つ気にするポイントが増えてうれしい限りです.
気を抜いているとイーグルスファンになってしまいそうなので(苦笑)