飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

2番打者論

最近イーグルスの嶋選手が2番に座っています.

DH制の有無による打順の組み方の違いに,特に2番打者の役割の違いについて自分なりに考えたことまとめてみます.

日本では打順に対する共通認識があると思われます.1~5番は大体以下のイメージ.
(括弧内にはイメージにある程度合致する2000年代の選手,敬称略)

1. 一定の出塁率と圧倒的な走力 (赤星2005:打率.316,1本塁打,60盗塁)
2. やや打率が低いものの,小技が上手く犠打が多い (田中賢2007:打率.301,7本塁打,21盗塁,34犠打)
3. 走力もあるアベレージヒッター (青木宣2008:打率.347,14本塁打,31盗塁)
4. パワーヒッター (松中2004:打率.358,44本塁打,120打点)
5. チャンスに強いクラッチヒッター (今岡打率.279,29本塁打,147打点)

細かい異論がある人もいるとは思いますが,「こんな風に思っているなんかいない!」と断言されるような的外れなものではないと思います.

この打順の狙いは何かといえば1~5番で1点を取る,ことであると考えられます.この場合2番に求められることは無死一塁を一死二塁にすることです.
逆に言えば無死で1番から始まるイニングでなければバントの有効性は大きく低下します.

ここで,DH制の有無が効いてきます.DH制が無いということは9番に極端に打力の落ちる“と想定される”打者がいることです.想定を強調したのは,8番が勝負を避けられることが増えると考えられるからです(セでは8番の四球が多い).
すなわち,9番で単純に打力が落ちるのに加えて,9番打者にあえて回す展開が多い → 9番でイニングが終わることが多い → 1番から始まるイニングが増える,といえます.
一方,パでは9番で極端に打力が落ちることは少ないことから単純に確率と打力によって左右され,特定の打順で切れやすいという傾向は無いと考えられます.

またもう1つの要因として,極端に打力が落ちる打者が少ないということは,1イニングにおける得点のばらつきが大きいということが考えられます.
すなわち,0得点のイニングも多い代わりに一挙5点といったような大量点が入るイニングも多い可能性が高いということです(本当はデータがあればいいんですが,見つけられませんでした).
点差が開いた展開では,送りバントの有効性はやはり低下します.

長々と書きましたが,要するにDH制のあるパ・リーグでは2番打者が,いわゆるステレオタイプ的な「2番打者」の役割(犠打等)を求められる機会は相対的に少なく,3番打者のような,いわば「2.5番打者」とでもいうべき役割を求められることが多い,ということです.
「足があるアベレージヒッターでバントも下手ではない.長打力は余りいらない」というのが自分の想定するパの2番打者ですね.
成績では.290,5本塁打,15盗塁,15犠打というところで及第点でしょうか.
チーム全体でみた場合では,当然のことながらクリンナップの人材が不足しているのに2番に強打者を置くのはあまり良くないといえます.

イーグルスの現状から考えるならば,嶋選手の2番は合理的な起用であると考えられます.

ただし心配が一点.最初に言ったように日本では打順に対するイメージが存在します.
2006年にカープで前田選手が2番に挑戦したときそのイメージを考えすぎて調子を崩してしまいました.
嶋選手も考えすぎて調子を崩すかもしれません.
(ただ今年の嶋選手は去年までの成績に比べれば出来すぎの感があるので,2番でなくても調子が落ちてくることは十分に想定されますが…)
もっと怖いのはそれがリードに影響を及ぼすことですね.
そういう意味では,嶋選手には,打席では何も考えず(?),捕手としては頭をフル回転させてイーグルスを牽引してほしいですね.嶋選手の2番としての適正がシーズン中盤のイーグルスの鍵になると思います.

頑張れ,嶋!!