“臨機応変”という言葉
前記事の続き.
前記事では,物事を始める前には,予測を立て,結果からその予測の精度を評価し,そのフィードバックから予測の精度を向上させるということをする必要があるということを書きました.
当然ながらこれは試合レベルでも同様です.
落合監督も試合前のシミュレーションについて述べています.
(スポニチの記事より)
オレは試合前に“きょうはこういうゲームになる”とシミュレーションしていくんだけどオレの予想をみんな覆していくもん。
具体的にどういうシミュレーションをしているかは書いてありませんが,おそらくは,
先発は何回まで何失点程度に抑える可能性が高い.その時点でリードしていれば勝ちパターンの投手を使う.同点なら○○投手を,負けていれば××投手を使う.
といったようなことを,
もちろん野手の起用も様々なケースを想定して,
当然ながらさらに多くのパターンで且つ詳細に,行っているのだろうと思います.
仮にこのシミュレーションの精度が低ければ,それを反省したうえで次のシミュレーションの判断材料にすべきでしょう.
翻ってカープの首脳陣は果たしてそういったことをしているのか?
少なくとも自分が一昨季~昨季の試合を見ている限り,それを感じたことは一度もありません.
個人的に大嫌いな批判の言葉の1つが「もっと“臨機応変”な投手起用を」という言葉でした.
シミュレーションをした上で,それに対応して前もって考えておいた手段の1つを実行したとして,
それを知らない外の人間から結果的に臨機応変に見えるというのなら構いません.
あるいは全く持って予想がつかないような事柄であれば臨機応変に動かざるを得ないところもあるでしょう.
しかし野球の試合のようにある程度の確率で一定の範囲に収まる物を対象にした場合,本当にその場で判断して物事に対処しているとしたら,それは臨機応変ではなくただ場当たり的なだけであり,ただの思考不足だと思います.
以前にレッドルさんのところにも書きましたけれど,昨季のドラゴンズの中継ぎ投手の使い方はある意味で臨機応変な投手起用の究極版のように見えます.
だからと言って,その場その場で急に決めていたのかと言えばそんなわけもなく,試合前までにどの投手であればどのレベルの打者まで抑えられるかを把握し,どれくらい投げられるかをシミュレーションした結果から逆算した起用をしていたはずです.
繰り返しますが,本当に臨機応変にその場に応じて自由な投手起用をしているとしたら,それは物事に柔軟に対処しているということではなく,ただのシミュレーション不足・思考不足の結果です.
シーズンが始まる前に,首脳陣にこのことを改めて理解してほしいと思います.
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村
野球 ブログランキング広島東洋カープ東北楽天ゴールデンイーグルス