飯尾の駄文日記

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放射線と健康被害

2つ目は放射線に対する健康被害についてです.
偶に「被ばくによる健康被害は長期に及ぶのでどんな悪影響が起きるのかはわからない.病理学者の研究でもまだわかっていない」という意見を耳にします.
当然科学者が人体を含む自然現象全てを明らかにしているわけもなく,この先「現在基準値とされている数値を大きく下回る数値の放射線を浴びても健康被害が起きる」ことが明らかになる可能性はあります.

しかし,少なくとも現在の医学レベルからして基準値以下の放射線が他の物質よりも危険性が高いかのような意見は根拠薄弱だと思います.

有名な狂牛病というものがあります.
狂牛病(牛海綿状脳症)は牛にかかる病気で異常プリオンによって引き起こされるといわれています.
この異常プリオンによって汚染された牛肉の摂取により人に感染するとヤコプ病を発症し,いわゆる認知症に相当する症状を引き起こすと考えられています.
これらは伝達性海綿状脳症とも総称され,人畜共通感染症の1つです.


もし20年前にタイムスリップして当時の人に未来人であることを証明するために未来の知識を教えようとして「一部の牛肉を食べると十年後に痴呆症にかかる可能性があることがわかり,牛肉の輸入が制限されるようになった」と言ったら信じてもらえるでしょうか?
要するに「牛肉食べると呆けるかもしれない」と言っているわけです.
役者のレーガンが大統領をやっていると言ったバック・トゥ・ザ・フューチャーの主人公のように,未来から来た事を信じてもらえないと思います.
それくらい荒唐無稽な因果関係なのです.
しかし病理学者はこのような突拍子のない因果関係からその関連性を見い出し,それを検討して立証を試みます.
そしてその立証方法に不備がなければ,牛肉のような食肉業界では極めて大きい経済規模を持っていて政府や政治家に圧力をかけることが可能なものであってもそれが明らかになることは止められないのです.

翻って放射線の影響はおそらくだれもがまず疑うくらい有名で『何だか危険そう』と思われていて,狂牛病なんかよりよほど多くの人が詳細に検討しているはずです.
そしてその上で基準値を定めている.少なくとも現在の科学レベルでいえばかなり高精度に基準値が定められているといえるでしょう.
むしろ経験則に基づく低い精度で基準値が定められている食品などに比べれば,基準値以下であれば安全であると言えるかもしれません.
実は人工添加物の方が天然添加物よりも安全性が高いかもしれないということにも通じますね.


本当にゼロリスクを望むのであれば,夜スーパーで売っている安売りの刺身を買うのもレバ刺しを食べるのもフグを食べるのも煙草の煙を吸うのも排気ガスを吸うのも全て避けなければならないでしょうね.
もしこれらをしている人が「放射線量は基準値を下回っていても危険だ」なんて吹聴していたらとんだ笑い話です.

今の過剰な反応は「太陽光を浴びると皮膚癌になる可能性があるかもしれないから外出しない」と同じくらい極端な話だと思います.
韓国では同レベルの話,雨にぬれると被ばくするから外出しない,という人が多いそうですが….

いずれにせよそういった反応は回り回って自分の首を絞めることになります.
だれのためでもない,自分自身や家族のために冷静になりましょう.
(冷静じゃない人ほどこういう意見に怒りますけどね)