見ているものと見えているもの
出張でここ2週間ほど，岡山や広島・京都などを回っていました．
セブンイレブンやローソンなどのコンビニは看板を消灯しており，いくつかの商品(水や乾電池・野菜ジュースなど)は品薄でした．
被災地から遠く離れているとはいえ震災の影響は及んでいるようです．
そんなこんなでその間はほとんどネットにつなぐことはなかったのですが，テレビの原発の報道とそれに対するネットの意見を見ていたら少し気になることがあったので書きます．
多分，2～3回に分けると思います．
先に自分の立ち位置を明確にしておきます．大学時代は災害や原発に直接的に携わるような研究はしていませんでしたが，総論に近いようなことを勉強はしていました．
今の会社でも似たような状態です．
そのため原発に関して特別詳しいというわけではありませんし，あまり専門的なことについて突っ込むつもりもありません．(というよりできません)
正直書くこともどうかと迷いはしたのですが，プロ野球が開幕してから書くのもアレだったので今のうちに備忘録も兼ねて書いておきます．
…一応メインは野球メインのブログのつもりですし，開幕したらそっちを書きたいですしね．
1つ目は「分かりやすい情報」ということについて．
特に放射線量の健康に与える影響について，「政府の出している情報がわかりにくい」とか「専門家が専門的な言葉を使って説明している」といった声があり「もっとわかりやすく情報を出せ」とか「わかりやすい平易な言葉を使え」あるいはなどと言う意見が，ネットではもちろんテレビのコメンテーターなんかも時折言っているのを耳にします．
しかしテレビを見ている限り，とてもそこまでわかりにくいことを言っているようには聞こえません．
単純化すれば
「ある数値が，一年間で合計10000を超えれば健康被害が出始める可能性がある．念のため基準をその1/20の500に設定している．今現在○○から出た数値は1以下なので，仮に最大の1ずつ取ったとしても一年間で365にしかならず基準値を下回っている．だから直ちに健康被害が起きる可能性は極めて低い」
という話をしていました．
そしてこれとほぼ同レベルの説明をどのテレビ局も行っています．
理解しようとした上でこの説明を理解できない人はほとんどいないのではないかと思います．
化学でも物理でもなく，ただの足し算と掛け算から成り立つ『算数』の問題なのですから．
もし本当に理解できないのであれば，正直言って日常生活に支障が出るレベルでしょう．
『専門家』が出てきた時点で，ちゃんと聞けばわかるのに「どうせ難しいことを言う，どうせわからない」といったつもりで聞いている人が一定数いるのではないかと思います．
池上彰さんが放射能の解説をしている特番も見たのですが，池上さんが特別優しい説明をしているとは思えませんでした．
もちろん他のニュースなどの場合では池上さんの説明は極めてわかり易くしてくれていることが多いですし放射線問題についても同様なのですが，この問題に関してはどのテレビ局も同じくらい易しい説明をしていました．
もしあの特番を見て「放射線問題に関しても池上さんの説明は特にわかり易い」と思った方がいたら，ニュースを見る時にちゃんと情報を理解しようとしているか自問することをお勧めします．
人はあるものを見ているからといって，その情報がきちんと見えているとは限らない．
少し話は変わりますが中国滞在中に母と電話で話していた時に「中国の人はやっぱり人民服を着ているの?」と聞かれました．
そんなことは無いと言うと「そうなの?最近のテレビでもよく見るけど」と言われました．
しかし少なくとも最近のテレビでは，北京や上海の映像で人民服を着ている人が映像に出てくることはほとんどないと思います．
出てくるとしたら15～20年くらい前の中国の映像が流れてきたときだけでしょう．
にもかかわらずその映像を最近見たと脳内で処理してしまっている．
これも目で見ているものを正しく処理しているとは限らない例の1つだと思います．
問題なのは，「ではどうすれば伝わるのだろうか?」ということがわからないことです．
正直な話こう書いたからと言って，「じゃあもう少し落ち着いて『専門家』の話を聞いてみようか」という人はそもそもパニックに陥らないでしょう．
伝えること，そしてわかってもらうことの難しさを強く感じます．
セブンイレブンやローソンなどのコンビニは看板を消灯しており，いくつかの商品(水や乾電池・野菜ジュースなど)は品薄でした．
被災地から遠く離れているとはいえ震災の影響は及んでいるようです．
そんなこんなでその間はほとんどネットにつなぐことはなかったのですが，テレビの原発の報道とそれに対するネットの意見を見ていたら少し気になることがあったので書きます．
多分，2～3回に分けると思います．
先に自分の立ち位置を明確にしておきます．大学時代は災害や原発に直接的に携わるような研究はしていませんでしたが，総論に近いようなことを勉強はしていました．
今の会社でも似たような状態です．
そのため原発に関して特別詳しいというわけではありませんし，あまり専門的なことについて突っ込むつもりもありません．(というよりできません)
正直書くこともどうかと迷いはしたのですが，プロ野球が開幕してから書くのもアレだったので今のうちに備忘録も兼ねて書いておきます．
…一応メインは野球メインのブログのつもりですし，開幕したらそっちを書きたいですしね．
1つ目は「分かりやすい情報」ということについて．
特に放射線量の健康に与える影響について，「政府の出している情報がわかりにくい」とか「専門家が専門的な言葉を使って説明している」といった声があり「もっとわかりやすく情報を出せ」とか「わかりやすい平易な言葉を使え」あるいはなどと言う意見が，ネットではもちろんテレビのコメンテーターなんかも時折言っているのを耳にします．
しかしテレビを見ている限り，とてもそこまでわかりにくいことを言っているようには聞こえません．
単純化すれば
「ある数値が，一年間で合計10000を超えれば健康被害が出始める可能性がある．念のため基準をその1/20の500に設定している．今現在○○から出た数値は1以下なので，仮に最大の1ずつ取ったとしても一年間で365にしかならず基準値を下回っている．だから直ちに健康被害が起きる可能性は極めて低い」
という話をしていました．
そしてこれとほぼ同レベルの説明をどのテレビ局も行っています．
理解しようとした上でこの説明を理解できない人はほとんどいないのではないかと思います．
化学でも物理でもなく，ただの足し算と掛け算から成り立つ『算数』の問題なのですから．
もし本当に理解できないのであれば，正直言って日常生活に支障が出るレベルでしょう．
『専門家』が出てきた時点で，ちゃんと聞けばわかるのに「どうせ難しいことを言う，どうせわからない」といったつもりで聞いている人が一定数いるのではないかと思います．
池上彰さんが放射能の解説をしている特番も見たのですが，池上さんが特別優しい説明をしているとは思えませんでした．
もちろん他のニュースなどの場合では池上さんの説明は極めてわかり易くしてくれていることが多いですし放射線問題についても同様なのですが，この問題に関してはどのテレビ局も同じくらい易しい説明をしていました．
もしあの特番を見て「放射線問題に関しても池上さんの説明は特にわかり易い」と思った方がいたら，ニュースを見る時にちゃんと情報を理解しようとしているか自問することをお勧めします．
人はあるものを見ているからといって，その情報がきちんと見えているとは限らない．
少し話は変わりますが中国滞在中に母と電話で話していた時に「中国の人はやっぱり人民服を着ているの?」と聞かれました．
そんなことは無いと言うと「そうなの?最近のテレビでもよく見るけど」と言われました．
しかし少なくとも最近のテレビでは，北京や上海の映像で人民服を着ている人が映像に出てくることはほとんどないと思います．
出てくるとしたら15～20年くらい前の中国の映像が流れてきたときだけでしょう．
にもかかわらずその映像を最近見たと脳内で処理してしまっている．
これも目で見ているものを正しく処理しているとは限らない例の1つだと思います．
問題なのは，「ではどうすれば伝わるのだろうか?」ということがわからないことです．
正直な話こう書いたからと言って，「じゃあもう少し落ち着いて『専門家』の話を聞いてみようか」という人はそもそもパニックに陥らないでしょう．
伝えること，そしてわかってもらうことの難しさを強く感じます．
