飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

“酷使”について考える (2) ~“怪我”の手前にあるもの~

引き続き“酷使”について.
しばしば誤解されることがあるのですが,自分は“怪我をするから”といった理由だけで酷使を否定しているわけではありません.

何故か意識されないことも少なくないのですが,疲労が蓄積してくれば怪我をする前にまずパフォーマンスが低下します.
そうなれば当然ながら抑えられる確率も低下するはずです.

そういった状況でそのような選手を無理に使ったところでどれだけのリターンがあるのか?

仮に今村投手の完全な状態での力を100として,これに対して大島投手が80であったとしましょう.
通常時ならともかく,今村投手が疲労でパフォーマンスが低下して7割の力しか出せない状況になれば完調時の大島投手を下回ってしまいます.
もしそうなってしまえば,結局は継投の際に80の投手か70の投手を出すしか選択肢が無くなってしまうのです.
しかし,それほど重要ではないであろう場面で大島投手を使うようにして今村投手の酷使を抑えて,両投手が9割程度の力は出せるようにマネジメントをしたとすれば,同じ際に90の投手か72の投手を場面に応じて使えるようになるのです.

投手というのは「沢山休ませたから沢山投げられる」,あるいは「沢山投げたとしても沢山休ませれば大丈夫」というものではありません.
極端な例で言えば「10日休みを挟んでやれば10連投しても大丈夫」などということは無く,登板過多になればパフォーマンスが低下する確率が上がり怪我をする虞もあるのです.

ここ半月ほど今村投手が打たれる場面が増えてきています.
青木投手も前半戦で登板過多の後に調子を落としました.
もちろんこれらが酷使によるものとは断言できませんし,適当な登板数・イニングであったとしても調子を落としていたのかもしれません.

しかしながら,“酷使”について考える (1) ~選手生命に与える大きなリスク~で言ったように過去にいわゆる登板過多を指摘されるような状況でパフォーマンスを落とさずにシーズンを投げ切った投手は数えるほどしかいません.
投げ切った選手ですら翌年や翌々年に調子を崩す可能性が高いのです.
そうであれば登板過多になれば調子を崩す可能性は高いという前提で投手起用をするべきでしょう.


これは当然リリーフに限ったことでは無く,先発も含めシーズンを考えていかなければなりません.
144試合およそ1300イニング,1ヶ月約25試合の計225イニング,1週間の6試合54イニングをどう消化していくのか?

仮に調子が良い選手を短期的に多く登板させたからと言って1シーズンの総消化イニング数が変化するわけではありません.
逆に怪我や急激なパフォーマンスの低下で使える駒が少なくなれば,アウトを取りづらくなるために個々の投手の負担が増してしまいます.

信頼できる投手のパフォーマンスを如何にして低下させないようにするか.
その一方で捨て試合でも投げられる選手を如何にして見出すか.
これらのことを考えて行かなければシーズンを乗り切ることは出来ないと思います.

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