飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

電力消費/経済への影響

結局セ・パ同時開催となりました.落とし所としては当初のうちから多くの人が適当なところだろうと思っていたところに落ち着いたわけで,ジャイアンツの不手際だけが目立った結果となりました.
当初にごり押しをしようとしたせいで極めて大きい損失を被る結果となってしまいました.
『「一文惜しみの百知らず」あるいは「因小失大」の意味を答えなさい』という設問があれば,『2011年の巨人』という答えで満点をもらえるでしょうね.
巨人として一番痛いのは東京ドームの使用に関しての問題を「消費電力の問題」として明確にされてしまった点でしょう.
電力問題自体が解消されるのはかなり先になることでしょうし,それまでは電力問題について常に姿勢を見せないといけないという足枷を負ってしまった.

開幕に関しては,最初に震災から間もないことから感情的な批判が巻き起こり,その後電力という現実的な問題が顕かになったことにより「感情論はともかく現実問題として電力が足らない」という意見が生まれてしまいました.
「感情論はともかく現実問題として○○」という論法は非常に多くの人を惹きつける力があり,今回の件でもそれが強く作用しています.
しかしこの論法に基づいて今回の問題を電力のみで語るのであれば,先日の4月ドーム不使用という報告を受けたところで,反対意見は収まらないはずなのです.
だって5月に入ったところで電力問題が解決しないことは東京電力が明らかにしているのですから.
東京電力がOKと言うまではドーム不使用ということを示さなければならない」という意見が多くてしかるべきですが,そういった意見はあまり耳にしません.
そもそも前の記事でも触れたようにパの開幕自体がわずか2週間程度遅らせただけに過ぎず,この間に現実の問題として解決されるようなことはほとんどないでしょう.
「選手・ファンの気持ちを落ち着ける」という程度だと思います.
(もちろんこの「気持ちを落ち着ける」ということ自体に大きな意味があるのですが)

一方でプロ野球の経済へ与える影響はほとんど議論されておらず,そういった意見に関しては
「サラリーマンの多くが節電したり本数を減らした電車に乗ったりして仕事をしている」,
「一般家庭の何倍の電力を消費するようなものは不必要」,
「こんな時期にスポーツは不必要」などと言われています.
しかし一般のアマチュアスポーツならともかく“プロ”野球である以上,その経済的影響は決して少なくないのです.
選手を除外したとしても,ある程度直接的なものでもグラウンドの整備者や客が泊まるホテルの経営者と従業員,またチケット発行の代行業者などもいます.
間接的なことを考えればさらに増えるでしょう.
上記の「本数を減らした電車に乗っているサラリーマン」の中にも直接的・間接的に,『一事業としての「プロ野球」』に関わっている人が少なくないでしょう.
そういった経済的影響の大きさも考慮して電力消費/経済への影響という観点でみればその数値は突出して高いとは言えなくなると思います.
当然病院などの命に関わりうる施設の電力は真っ先に確保されるべきですが,それ以外の事業に関して電力消費量のみに基づく議論は経済的に危険をはらんでいます.
表面に出てくるのが「スポーツ」のようなものであっても,その裏にはより多くの人が「事業」としてそれに関わっているはずなのです.


勘違いされそうなので言っておきますが,自分は感情論として
セの予定通り開幕には納得がいかず今回決まったセ・パ同時開催は当然だと思っています.