飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

今季のイーグルスの注目選手

今季のパ・リーグの予想でも最後に少しふれましたが,個人的に今シーズンの東北楽天ゴールデンイーグルスで最も注目しているのは岩村・松井両選手です.

一つ目の理由は,
例年得点力不足に悩んでいたイーグルス打線の今年の出来は彼らの活躍によって大きく左右される可能性が非常に高い
ためです.
この辺りについては,同記事内で触れています.
この2人がある程度活躍したと言える成績を残したら得点力不足は一応解消されるでしょう.

これに加え,もう一つ大きな理由があります.
それは,
彼らの成績が今後のNPBの戦略補強の方向性に大きな影響を及ぼす
といえるからです.

以前,イーグルスカープの選手補強を例にとり,選手補強の手段についての考察記事を書きました.
選手補強の手段 (上)【カープでのFA補強の価値】
選手補強の手段 (下)【イーグルスの補強戦略】

また,その背景として,近年のパ・リーグでは幾つかの球団が戦略的な補強を行っている点について,個人的な見解を書きました.
戦国パ・リーグを生み出したもの


選手補強の手段 (上)【カープでのFA補強の価値】の中で,
おそらく10年以内にはメジャー帰りの選手の獲得に関して,何らかの制限ができるのではないかと思います.
そうでなくとも年棒については相対的には上昇するはずで,少なくとも現在のような,日本にいた時よりも安い年棒なんてことはまずないと思います.
現在はその狭間で,ローリスクに対しミドル~ハイリターンという状況です.

と書きました.

ただし,書いた後に思ったのですが,これまでのNPBの対応の遅さを考えると多くのファンがそういう主張をするようになってから,実際に規制が行われるのはさらに5~10年後くらいといったところでしょうか.

順番については,MLB帰りの選手が一定の実力を持っていると仮定した場合
1)一部の球団のみがMLB帰りの選手の獲得を行う.
2)一般の間にも補強手段としての認識が広がる.
3)資金力のある球団も MLB帰りの選手の獲得を行うようになる.
4)MLB帰りの選手のバブルが起き,年棒が高騰する.
5)年棒の高騰・特定の球団に偏ることに批判が起きる.
6)バブルが終わり適正年棒に落ち着く.


という過程を経ると予測しています.
もし規制が定められるとしたら,6になってからでしょうか.NPBの行動は本当に遅いですから.
現在は1の段階です.

一つ重要な点があって,最初に仮定したように,これは
「MLB帰りの選手が一定の実力を持っている」
という仮定に基づくものです.

近年,WBCの日本連覇やMLBでイチロー選手の活躍,そして外国人選手が活躍できない事例などから,
NPBとMLBの実力にはそう大差はないと考えているファンの方も少なくないと思います.

裏を返せば,MLBで活躍できない選手はNPBでも通用しない可能性が高いのではないかと危惧している人もいるのではないでしょうか.
実際カープファンの掲示版でも,岩村選手をカープが獲得しなったことについて同様の指摘に基づいて,トレーシーの方がいい,という主張をしている人がいました.
(これは,酸っぱいブドウの考え方でもあるとは思いますが)

岩村選手と松井選手はそれぞれ,
「MLBではNPBのころに比べると数段落ちた成績しか残せず,マイナーに落ちることもあり,その後NPBに復帰」
「MLBでもまずまずの成績は残していたものの,怪我で成績を落とし,その後NPB復帰」
というパターンでの復帰です.

今後,NPB復帰する選手はこの2パターン・レベルの選手が多くなるはずです.
というより,これ以上の成績を収めていたら普通は帰ってこない.
逆にこれ以下であれば,いくら実績があっても高額な契約はされないでしょう.
城島選手のような例外もありますが,例外であるがゆえに基本の補強路線にはさして影響を与えません.

今季のイーグルスは,山崎選手らの成績にもよりますが,
MLB復帰の選手らが打線の中心となり得点力不足が改善
というモデルケースを作る可能性があります.
井口選手や城嶋選手の場合は,タイガース・マリーンズとも打線は貧弱ではなく,あくまで中心選手の1人というレベルです.

仮に,今季両選手が抜群の成績を収め,それに伴ってイーグルスも躍進することになれば….
MLBで駄目だったとしても,NPBでの実績があれば同レベルの活躍は出来る
という認識が広がることになります.

その場合,数年以内に
3)資金力のある球団も MLB帰りの選手の獲得を行うようになる.
4)MLB帰りの選手のバブルが起き,年棒が高騰する.

の段階まで到達する可能性があります.
ひょっとしたら,3年後にでも「阪神!メジャーの五十嵐・福留・西岡・栗原・高橋らを一挙に獲得 !!」という記事が一面を飾るかもしれません.
これは極端な例ですが,これに類するような状況になると,イーグルスのような費用対効果を重視する球団にとってこの補強手段は旨みが少ない物になってしまいます.


逆に両選手ともほとんど活躍できなければ,
MLBで駄目だった選手は日本でも駄目
という認識が強くなるでしょう.
この場合,
1)一部の球団のみがMLB帰りの選手の獲得を行う.
の段階に留まることになります.
場合によっては,その有効性自体が論じられるようになり,MLB帰りの選手に大金が投じられることは少なくなる.
MLB帰りの選手はひっそりとNPB復帰することが普通になるでしょう.


両選手の成績が今後のNPBの戦略補強の方向性に大きな影響を及ぼすと言ったのはこういう理由です.
もちろん,個々人の相性や所属チームの状況に左右されることは承知の上ですが.

自分自身,MLBであまりパッとしなかった選手はNPBでも同様なのではないか,という漠然とした感覚に基づいた考えがあります.
一方で,かつてNPBで好成績を残したのであれば復帰後も活躍できる可能性が高いだろう,という理屈に基づく推測もしています.

この相反する思考をまとめる上でも今季の両選手の成績は注目しています.