飯尾の駄文日記

広島東洋カープ 時々 東北楽天ゴールデンイーグルス ところにより一時 中国生活

【本紹介】1 田端到

最初に紹介する本としては,田端到さんの著書を選びました.
“ワニとライオンの野球理論”と“図解プロ野球「新・勝利の方程式」”です.






発売自体は2006年と2007年なので少し古いのですが,個人的にはとても気に入っている本です.
ただしそのせいか,楽天市場さんでは,“ワニとライオンの野球理論”は売り切れているようです.
Amazonなら売っているかな?
(こんなこと書くと怒られそうですが…)

著者は競馬ライターでもあり,というかむしろそちらが主体で競馬関係の著書の方が多く,データ集以外での野球に関するものはこの2冊だけですが,この2冊がなかなか秀逸なものになっています.

“ワニとライオンの野球理論”は数ページ程度のコラム形式で,基本的には様々なデータを参照しながら,そこからの考察を展開しています.

データとしては,井端選手の空振り率に低さや,金本選手のファーストスイング打率,あるいは7~9回を投げる投手の勝率に対する寄与度など,なかなか興味深いものを示してくれます.
また送りバントの項では,送りバントの有効性を議論しつつ,最終的には「状況による」というある意味,普通というか当然の結論に導いている辺りも非常に好感が持てます.

当然といえば当然なのですが,データに関して物を書くときはついつい自分の望む方に断定的に書いてしまう人が(自分も含めて)少なくないので.


“図解プロ野球「新・勝利の方程式」”はセ・パ両リーグの監督を1~2人ずつ取り上げて,それらの起用方・戦略の比較からの考察をします.
例えば,カープのブラウン監督とスワローズの古田監督を取り上げ,それぞれのチームで2番打者として起用された前田選手とリグス選手を比較し,その成功と失敗は何が原因なのかについて示しています.

本文も面白いのですが,これも章の最後に入る対話形式のコラム?が面白いです.



最初にこの本を取り扱ったのは,このブログに書いたような自分の野球観に関して,かなり多くの部分をこの本から影響されているからです.
例えば,セ・パの打順の違いやセットアッパーとクローザーの位置づけなどの記事は,もともとこの本の内容がきっかけでそこから自分なりに考えたことを書いています.


軽妙な書き方も含めて非常に面白い内容となっています.
ただ惜しむらくはタイトルがちょっと….

強くオススメする本です.

個人的には田端さんによる,この本の続編,あるいは新しい本がそろそろ出てくれないかなと待ち望んでいます.