首位で交流戦突入
カープが好調ですね.
一応試合経過を追ったりはしているのですが,今年から仕事が増えたこともあってなかなか更新できず.
あと正直なところ,主力が打って先発が抑えて救援投手が抑えて勝っているという状態なので,何か書くとしても,
「ばったーがうって、ぴっちゃーがおさえたので、きょうもかーぷがかちました。うれしかったです。」
くらいしか書きようがないというのもあります(苦笑
嬉しい悲鳴…なのかな?
特に投手に若手が多い=一軍で一年通して働いた経験のある投手が少ない,という不安要素はあります.
ですが,2年前ならともかく今の首脳陣なら一定の質は保つような運用をするだろうと見ています*1.
加えて,というかこちらの要素もかなり大きいのですが,他のチームの投手事情が推して知るべしなので,そう簡単にはまくられないかなと.
少なくともジャイアンツは巻き返してくるでしょうし,交流戦で大きく浮沈することもありえますが,なんとか鯉の季節が続くことを祈っています.
鼻血やら被曝やら
出張やらなんやらで年間に何回か飛行機に乗っていて,その際に福島よりも桁違いに多い被曝をしているはずですが,今のところ鼻血を出したことはありません*1.
空港で周りの人が鼻血を出しているのを見たこともありませんねぇ.
ということで,今更ですけれど例の鼻血問題で思ったことをつらつらと雑記形式で.
“科学的に無い”と断言していいレベル
悪い意味での相対化に持っていくような意見,要するに可能性は0では無いみたいな言葉,も目にしましたけれど,そもそも科学的にないと断言していいレベルの話なので*2.
STAP事件やらなんやらと合わせて科学的な意味での可能性が言及されるようになりましたけれど,今回の件はSTAP細胞が実在した可能性なんかよりずっとずっと低いのですよね.
STAP細胞は“有る証拠が無い”と言うレベルでしたけれど*3,鼻血に関しては“無い証拠が有る”と言うレベルです.
福島よりも多い線量を日常的に受けている地域は数多くありますし,あるいは医療目的など*4で桁違いに多い線量を受けている人は数多くいるわけですけれど,少なくともその結果として鼻血の大量発生は無いのですよね.
要するに膨大な反証データが有るわけです.
極端なことを言えば,(仮に本当に鼻血が大量発生していたとしても)宇宙人がやってきて鼻血を出させている可能性の方が高いです.少なくとも論理的には.
なぜなら,宇宙人が関与していることに関する反証データは無いのですから.
新種の生物に例えてみます.
研究者があまり立ち入ったことのない地域に未知の小型生物がいる可能性は高いですが,人の目に触れる機会の多い場所に未知の大型生物がいる可能性は極めて低いでしょう.
アマゾンの奥地に未知の昆虫が存在する可能性,深海に未知のサメが泳いでいる可能性,奥羽山脈にニホンオオカミが生き残っている可能性,東白川村でツチノコが発見される可能性,比婆山にヒバゴンが生息している可能性,目黒区の林試の森公園に未知の類人猿が潜んでいる可能性,を比べるようなものです.
ただただロマンを語る場であれば,目黒のイエティの存在を主張するのも構わないでしょう.
ですが「奴らは人を襲うから,東京に人は住めない」などと主張すれば批判されても致し方ないでしょう.
本質的には名誉棄損
この件を表現の自由から擁護する方,信じる人はいないから問題ないとの指摘,あるいは問題提起だと主張する向きもあるようですが,本質的には名誉棄損と同じ構造なわけです.
例えるならば「3億円事件の真実!犯人は○○である」と週刊誌に書かれたようなものでしょうか*5.
○○の部分に入るのは一般人でも有名人でも飯尾でもどなたでも構いませんが,1968年以降に生まれた,要するに事件が起きた時にまだ生まれてもいない人物です.
そういう主張をするためにはタイムマシンやらなんやらを考えないといけないくらい可能性は低い,実質的に0と言って差し支えない話です. 当然それを信じる人は皆無でしょう.
ではこれを,表現の自由だから,信じる人はいないから,問題提起だから,だから問題ではないとする意見は問題ないものでしょうか.
仮に,件のデマを信じて福島を忌避する人が喜ばしいことに0であったとしても,それでもなお例の表現は問題だと思います.
それは本質的に名誉棄損だからです.
“鼻血が出ない”のは“この3年でわかったこと”ではない
「事故後3年経ち,その知見の積み重ねから鼻血が出ないことがわかった」というのは嘘ではありませんが正確ではありません.
なぜなら,放射線に関する知見はそれ以前にも積み重ねられてきていたからです*6.
誰も使ったことのないとある物質についてならともかく,放射線はかなり詳細に分かっている部類なわけで.
より正確に記すならば,“これまでの知見からどの程度まで除染すれば効果的か”という情報を基に,“実際に除染を行い,目標数値をクリアできない地域には居住しない”ということをやってきた結果が現在です.
3年前の事故直後.既に知見が有るにもかかわらず,某中部大学教授などが適当なことを言って人を脅かしていました.
一方でその間にも,知見に基づきどのように除染すればいいのかを考えて伝え,そしてそこから実際に活動してきた方々がいるわけです.
他の件についても同様で,どうしてもチェルノブイリと同じにしたい人達がいるようですが,チェルノブイリと同じようにならないように活動した結果が今なわけです*7.
今回の結果はある意味では,福島のために活動してきた方々の尽力により当たり前の結果が当たり前に出ただけです.
一連の騒動では,少なくともネット上では冷静な主張が多かったです.
STAP問題の際にも思いましたが,ネット上では議論が見えることもあり,問題のある主張は受け入れられにくいのも理由の一つだと思います.
ただ,自分としては,福島のために活動してきた方々の誠実さが伝わったのだろうと思っています.
*1:まぁ,「だから鼻血はあり得ない」という結論にはなりませんが.良くも悪くも個人の体験談は参考にしかならないですし,一般化など出来る筈が有りません
*2:もちろん論理的には0ではありませんが,何かを話し合う時に意味のあるレベルでは無いので
*3:ただし,最初に報告されたような簡単な刺激で多能性を獲得するという点に関しては,極めて可能性は低いでしょうが
*4:冒頭の飛行機の件も含め
*5:もちろん明らかなフィクションで描いてあれば話は別ですが,“綿密な取材により3億円事件の真実を明らかにした”ルポルタージュとして書かれていたら
*6:因みにCiNiiで放射線を検索すると2014/5/19現在で153,123件も見つかります.もちろんこれにはひ医学系の論文も含まれていますが,日本語論文だけです.英語論文などを含めればそれこそさらに膨大な量になります
*7:福島の方々やそれに協力してきた方々が様々な労力を払った結果なわけですから,当然原発事故が起きていなければこれらの労力を費やす必要はありませんでした.この点を強調して反原発をするのであれば,福島の方々にも支持されると思うのですけれどね.少なくとも,健康被害が出て欲しいとしか思えないような言動を繰り返すよりは
野球雑記 10試合を終えて
手短にメモ書き.
とりあえず10試合が終わって,カープは良い感じ.
先発は悪くても一応役目を果たし,勝ちパターンの投手は一応計算できる.
野手は長打もある程度期待できるのが何よりといったところ.
ただ,今季は統一球の反発係数が規定値以上だそうで.
今季統一級は「飛びすぎ」…NPBが反発係数公表、最高値は東京ドーム (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
少し評価が難しいなぁという気持ちも.
例えば今日の篠田投手は6回3失点.
低反発球時代なら打たれ過ぎ,昨年までなら一応試合は作ったくらいの評価でしたけど,仮にラビット時代を想定すれば良くやったってところ.
もう少し継続的に見ないと感覚がつかみにくいというのが正直なところです.
上記の反発係数公表に関しては,明日時間があればまた書きたいと思います.
ただその内容についての評価は別にして,公表したこと自体は評価されるべきだと思います*1.
*1:まぁそれが普通なのですけれど,普通のことを普通にやってくれなかったのが前任者なので
STAP細胞雑記13 とりあえず陰謀論者はストーリーを纏めておいてほしい
陰謀論で擁護している人がしばしば.
まぁ何でもそうなのですが,陰謀論者は各々で整合が取れていないのが常なので,とりあえず以下の質問に対して答えられる,破綻しないストーリーを纏めておいてほしいです.
だいたい黒幕としては,製薬会社・iPS関係者・外国,が挙げられているのですが,
- 仮に再生医療全盛になっても,組織培養には薬品がいるし,寿命が延びれば障害に使う医療費も増えると思うけれど,なんでわざわざ邪魔するの?
- iPS細胞は京大が保有していて無償提供しているのだけれど,だったらアメリカとかの製薬会社はSTAP細胞の方が儲けやすくない?
- iPS細胞が出てくる前にES細胞があったのだけれど,iPS細胞がES細胞利権に潰されなかったのは何故?
- 外国が噛んでいるのであれば,発表前に引き抜けば良くない?
外国を例に出される場合に中韓を引き合いに出される方がいるのですが,おそらくそれらの国に好意的な印象を抱いていないのでしょう*1.
是非,韓国のES細胞捏造事件のウィキでも読んで,省みて頂ければと思います.
冷静さに欠ける世論と理性を欠いた韓国メディアのありかた、さらには世間の誤解を追い風にノーベル賞受賞振興教育制度をもくろんだ政府の姿勢を国内外に示して事件は終息したかにみえるが、その後も捏造事件そのものを「敵対組織の陰謀」として信じようとはせず、熱狂的なまでに黄禹錫を擁護する韓国人も多く、研究継続を訴え抗議の焼身自殺をする者まで現れた。
もし他の国の研究所がSTAP細胞を成功させたらどうするのか?
という意見も目にしましたけれど,
- Natureに掲載された手法で成功したのであれば,Obokata et al. (2014a, b)の功績
- 他の手法で成功したのであれば,その研究者の功績
となり,そして当然,
- 小保方氏が新たに論文を投稿してその手法が正しければ,小保方氏の功績
になるだけです.
iPS細胞の件を例にしてみましょう.
iPS細胞は4つの遺伝子(Yamanaka factor)を加えることで初期化させることによって樹立されますが,これはTakahashi and Yamanaka (2006) で示されました.
もしそれ以前の論文,Eo et al. (2004) としておきましょう.
その中で,「4遺伝子を加えることにより多能性幹細胞が樹立できる」と主張されていたとします.
ただし…
- 4遺伝子はYamanaka factorとは全く異なり,手法もiPS細胞のそれとは異なる
- 論文の証拠となる写真が改竄されていた
- 再現実験に成功していない
こういった状況でEo氏とその国が,
「iPS細胞の作り方は既にEo et al. (2004) で示されている.だからその成果は私たちのものだ」
と主張したとして,
「そうだ!その通りだ!」
と思われる方は….
まぁ何というかそのままその主張を続けて下さればと思います.
それにしても今回の件で思ったのは,ネットの世界の功績は大きいのだろうなぁと.
当然不正を見破ったこともそうですけれど,世間の反応に関して.
科学者や研究経験者で小保方さんを支持する人はほぼ0だと思いますけれど,それ以外の人の支持もやっぱり少ないのではないかなと思います.
一番大きいのは,判断力はあるけれど,調べる方法がなかった人たちの反応.
以前であればおそらくある程度コントロールされたかもしれませんけれど,今はネットが有るのでとりあえず検索できます.
何となく「あの子は悪くないのではないか」と思ってしまうような人でも,情報を調べることができます.
その上で,それでもなおそう思ってしまうような人は多分ネットが有ろうが無かろうが自分の考えを変えないでしょう.
少し検索すれば,基本的には感情的あるいは陰謀論による擁護ばかりですし良い印象は抱かないと思います.
STAP細胞について雑記の追記6 問題の“ねじれ”について 備忘録 - 飯尾の駄文日記のコメントに,
既存のメディアだけだと,なんとなく人が良さそうと言った理由だけで問題点は際立たちにくいところがあります. ですが,過度な支持者はネット上で問題点を際立たせてくれます. 「ある人物の問題点について冷静に指摘をしているサイトにやってきて,暴言を喚き散らして行く人がいる.細かい点はよくわからないけれど,少なくともその人物の支持者の一部はおかしい」というような感想を抱いてもらえると言えば良いでしょうか.
と書きましたけれど,正に同じような形です.
少なくとも自分の知る限り,今回の件について順序立てて擁護しているサイトや意見を目にしたことはありません.
個人的にはネット,特にツイッターなどはクラスター的な要素が強いと思っています.
要するに同じような意見を持った人たちが集まり易い.
陰謀論を組み立てるような人は,そういった人たちで集まってストーリーを組み上げていく.
当然批判は届きにくく,やがて先鋭化していく.
ネットがない状態では目立ちにくかったですけれど,そういったものも目立つようになったかと思います.
*1:まぁ自分も決して好意的ではありませんが
STAP細胞について雑記12 金銭的被害は甚大“だった”
何だか美辞麗句を言っていたような気がしますが,大の大人が泣くってだけでも何だかなぁ.
気になるところを列挙すれば,
- それって本当に“STAP細胞”?
- ただOct4-GFP発現を見ただけじゃなくて?
- Oct4-GFP発現を見ただけじゃ,多能性細胞かもわからないんじゃ?
- 百歩譲ってSTAP細胞が有ったとしても幹細胞になるかどうか(=和歌山さんのマウスの結果による)じゃ,主張していた夢のような応用ができるかどうかはわからないよね?
- 200回も成功しているのに,ノートが4冊か5冊かも覚えてないの?
- 試行回数も記録も良く覚えていないようじゃ科学者としては致命的じゃない?
- 本当に人の役に立ちたいんならすぐ作り方を公開すれば?
まぁ冒頭に,人のためとか何とか言っていましたけれどね.
本当にそう思っている人なら,自分の身の丈を超えた成果に対して一生懸命勉強するものです.
それでもだめなら誰かに引き継げばよろしい.
iPS細胞の山中さんはより確かにするため発表を遅らせ,発表後は積極的にサンプルなどの提供をしました.
人のために役立ちたい.でも情報は見せたくない.
このどこに誠意を感じればいいのか自分にはわかりません.
さて,ここでは金銭的な部分に的を絞って話をしておきます.
先に断っておくと,実はあまりこういった話はしたくないのです.
金銭的被害が大きいから悪質だ,少ないから悪質ではないと言った論は,本来はあまり生産的ではありません.
もちろん結果責任として加算されることはありえますが,その多寡を問わずそれ以外はそれ以外で論ずるべきです.
一歩間違えれば,より重く裁きたいがために,被害を大きく見積もってしまいがちにもなります*1.
また,金銭的な被害が大きいから,という理由を書くと,金銭的な影響が比較的少ない,例えば自然科学系や考古学などの分野での捏造論文は許されるのか,と言う話にもなりかねません.
ただ,捏造論文が世に出回ることの被害を軽く見ているような人が有る程度見受けられるようなので,書いておきます.
なお,本人がこれまでに学振や理研から得た給料もすべて税金なので研究費と合わせれば数千万円になると思いますが,ここではそこはひとまずおいておきます.
最も深刻“だった”のは今回の不正が明るみにならなかった場合でした.
その場合,短くても半年は世界の再生医療に携わる研究機関が追試を行うことになります.
もちろん,半年やっても成果が出なければ「少なくとも当初主張された程には簡単ではない」とされ徐々に廃れていくでしょうが,それでも数年にわたり追試に取り組む機関もあったでしょう*2.
そういった分野に取り組むのは,再生医療分野の研究者であり,当然研究者の総数は簡単には変動しませんので,当然他の研究は滞ることになります.
総数が変化しないのは研究者だけでなく予算もそうです.
新しい発見があったからと言ってその新分野にそのままお金が追加されるのであればよいですが,多くの場合,あるいは多くの国では他の分野の予算が削られることになります.
要するに,一歩間違えれば世界中の再生医療分野の研究者と研究費が,ひょっとしたら数十億円からそれ以上の規模で無駄に費やされた可能性があるのです.
当然その多くは税金です.
そして何より,研究が遅れたために間に合わなかった命も相応に出てくるでしょう.
ネットによる“査読”が行われるという時代背景,そして幸か不幸か小保方氏の杜撰さが凄まじかったため,そのような事態にはならずにすみました.
特に後者は顕著で,D論のコピペではなく,新たに撮った写真(ただしSTAP細胞を示すものではない)を使われていたら,決定的な証拠はつかめないまま時間だけが過ぎたと思います*3.
STAP細胞の追試が成功しないことに対して当初の報道を批判する人も出てきたかもしれませんが,基本的には「研究成果が間違いであった」ことは批判されないものなので,やがて廃れていくだけの話です.
かくて完全犯罪の成立です.
ある意味では,
小保方さんの科学的素養が欠けているために 今回の騒動が起き,
そして素養が欠けているために被害が拡大する前に発覚した,
という皮肉でもあると思います.